自分らしく生きること〜義母の生き方

6月、義理の母が、
76歳の生涯を閉じました。

4月に末期のすい臓がんと診断されてから
ちょうど2ヶ月。

義母らしく駆け抜けた人生、という
印象でした。

明るくておおらか、
楽しいこと、美味しいものが大好きで、
自分のことより人のためによく動きまわっていました。

義父は自営業で、模型屋さんを営んでいて、
そのお客様からの紹介で紙粘土人形と出会い、
義母はその創作の世界に夢中になったそうです。

お店を手伝いながらも
趣味にとどまらず、
紙粘土人形作家として独立。

数々の展覧会でも入選、入賞し、
講師としても信頼を集めていました。

私が結婚した頃は
老人ホームの講師を2ヶ所引き受けており、
少し作品展などもやっていましたが、

子ども(義母の孫)ができてからは
本当に可愛がりよく面倒を見てくれました。

私と主人は歳がひとまわり離れていて
結婚が遅かったのと、
義母が跡取りだったのもあって
本当に喜び、私にも感謝してくれていました。

粘土はさんざんやったからもういいの、と
2人目の娘が産まれてからは
講師の仕事も辞めて
子育てと家事を一生懸命やってくれました。

義母は3歳で戦争の遺児となり、
母娘2人で暮らしてきたそう。

主人のおばあちゃんになる義母の母、という方が
やっぱり自営業の娘夫婦を支えてくれていたそうで、
主人も、おれはばあちゃんに育ててもらったんだ、などと
話を聞いていましたが、

義母も子守を責任持って
2人の保育園の送り迎えをやりとげてくれました。

その分私たち夫婦も一生懸命一緒に仕事に専念できたのですが、
この時期は主人が職人として独立した時期で、
大変さもやりがいも共有できて
今後の基盤になる本当に大切な時期でした。

その時々に合わせて
家族で協力して生き抜いていく。

家族としての絆。

それは一つの軸ですが、
自分の好きなことにも情熱を注ぎ、
そのつながりもまた義母はとても大切にしていました。

家族の一員としての義母と
自分の大好きなことで
社会で活躍した一人の女性としての義母。

今、女性も社会で活躍する時代ですが、
私も女性として感じるのは
家庭と仕事の両立の壁。

バランスが大事なのだと思うのですが、
義母はそのあたりの要領がすごく良かったんじゃないかなあ。

もちろん打ち込みすぎて家族からの文句も
なかったわけではありませんが、
義母ってお茶目でかわいいところがあって。

弔問に来られた方々の話を聞けば、
最後の方も子守の傍らお友達の皆さんと
美味しいものを食べ歩いていたようで、
義母の遺影が「バレたか」って
舌を出していそうで笑っちゃいました。

急な病気の発覚で、
この長寿の方々も多い時代に
10年早かったなあと惜しまれるお声も多く、
6歳、1歳の孫達の成長ももう少し見たかっただろうに、、と
残念な面も多々ありますが、

多分義母は自分らしく生き抜いていった。

病気がわかる前、義母はよく言っていました。
「その人の寿命があるから」と。

話しているうちに、なんとなく
生きるって
与えられたいのちをどう生きるか、なのかな、と
思うようになりました。

その長さも、苦しむ分も決まっているかも知れないけれど、
その質は自分が決めて変えられるんじゃないか、と。

義母の病気がわかって闘病から
いなくなってしまった現実と向き合う中で
気持ちが参っていましたが、

改めてこうして義母の生き方と向き合うことで
またがんばろうと思いました。

そう、そしてもうひとつ。

人からなんと言われようと、
自分が信じるもの、大事にしているものを貫く強さも
義母らしい生き方だったと思います。

自分らしく後悔しないように
今日もこの与えられたいのちを
一生懸命生きたいと思います。

先日、義母の紙粘土の大作を
大事にしてくださっている方とお会いし、
作品を見せていただきました。

魂のこもった躍動感のある
夢の世界が、母がいなくなっても
そこに尚生き続けていました。

義母の生きた証は、
数々の作品と
元気な二人の孫たちの中に
しっかり刻まれているようです。

お義母さん、ありがとうございました、
そしてお疲れさまでした。

どうか安らかに、
そしてその温かい眼差しで
見守ってくださいね。




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